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おかげさまで3月23日のリサイタルは完売御礼になっています。いらして下さる皆様、ありがとうございます。

ヤマハ銀座に行きリハーサルをしてきました。

6階のサロンは広くはないけれども、木のまろやかな響きに包まれてとても和める空間です。ピアノももちろん素晴らしいです。

低音側の壁が反響板にもなっていますが、もしかすると少し壁から離した方がいいかもしれません。当日また調律師の米澤さんと相談しながら位置は決めることにします。

今回のリサイタルで初出しの曲が結構多くあります。作品1のロンド、ピアノ協奏曲第2番の第2楽章ラルゲット、4つのマズルカ作品17。

この協奏曲第2番作品21 第2楽章のラルゲットは、何としてもこの出版記念リサイタルで弾きたい、いえ、弾かねば!の1曲。

なぜかというと、ショパンは自分の創作について言及したことはほとんどなく、音楽に意味を求めたのはこれが唯一の曲だからです。

音、あるいは音楽には自律的な力があり、言葉よりも人間の心に大きくものを言うとショパンは考えていました。この曲は、恋愛感情に駆り立てられ、感情的に曲を組み上げた最初で最後の曲。初恋の人コンスタンツィア・グワトコフスカへの想いが叶えられない欲求の不満を、文通の相手ティトゥスに文字で書く代わりに音にしたのでした。

ショパン19歳。初恋の人、コンスタンツィアは音楽院の学友で、ソプラノの歌い手です。一度も話したこともないのに、その幻想の恋を切々と歌い上げるこの『ラルゲット』を弾かずして青年ショパンを語るなかれです。

ショパンの想いは連符、連符、そしてまた連符に表現されています。

あぁ連符。。。。

9連符、15連符、20連符、27連符、29連符、40連符。。。。

この曲をさらえば連符の達人になること間違いなく、ノクターンも連符が多用されていますが、ここまでどこもかしこも連符ではありません。この連符にコンスタンツィアへの想いを込めたのだと思えば、20連符でも40連符でも愛おしさが湧きます。

連符はいわば譜に書かれた即興。あたかも瞬時に感情がほとばしるがままに弾く。迷いは禁物。立ち止まるわけにはいかないのでふっ飛ばすしかない。

連符の中を覗いてみると、駆け上がったり、急降下できるところと、ためらうところ、優雅に振り返るところなどが混在しています。これが自然な緩急となってニュアンスを醸し出します。左手の音に対してただ数通り均等に入れたのでは、とてもおかしなことになります。

駆け上がったり急降下も、あまりスピードが早いと響きの渦になって粒が不明瞭になってしまい、どうかするとただの汚れた響きになりかねないリスクもあります。

そんなことをこの会場だとどうかな。。。と試しながらリハーサルを終えました。

ヤマハの石井さんと打合せをして、さてお昼ご飯はどこで食べようかしら。。と相談したら、この通りにけっこう色々ありますよ、と仰います。

そこまで一緒にいきましょう、と銀座通りを渡ると、まずチャイニーズの維新號、その先にはお魚の定食屋さん。どちらも好みだけど、

「今日は維新號にしますっ!(きっぱり)」

ボリュームたっぷりの定食ランチを頂いてまたまた力が湧いたのでした!

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