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ショパンのピアノデュオ作品を課題曲にして、昨日桐朋でクラスコンペを開催しました!
課題曲はかなり難関の作品3曲。
1、トーマス・ムーアの歌による4手変奏曲
2、マイエルベーアのオペラ「悪魔王ロベール」の主題による大協奏的二重奏曲(連弾版 Mockowitz編曲)
3、2台ピアノのためのロンド
いずれの3曲の中で、変奏曲とロンドは、それでも時折は世の中で演奏されます。
変奏曲は、プリモはえらくややこしいけれど、セカンドは少しも難しくありません。
ロンドは、両方とも難しいが、ショパンの若い時代に共通する独特のメランコリーが心に迫ってきて、弾いてみたくなる作品です。
しかし。。。
悪魔王ロベールの協奏的大二重奏曲は、曲名からして凄すぎるし、現在では、世の中でこの曲をあえて演奏する人はまず滅多にいません。
でも当時、マイエルベーアのオペラ「悪魔王ロベール」は3年の年月を費やして書かれ、完成の暁にパリで初演されると大評判を取り、そのスペクトラルな大オペラにショパンもすっかり虜になったのでした。特に悪魔の大合唱には感激して、故郷の友人にその凄さを手紙で書き送っています。

連弾版の楽譜は入手困難で、四方八方探しました。パリのコンセルヴァトワール図書館、ワルシャワのショパン音大図書館まで!
。。。どこにも所蔵がなく、まったく手に入らない状態。
結局は私のポーランドのデュオのパートナーのTamara から入手。彼女は30年近く前から持っているそうで、さすがです!そもそも、この曲をやろう、譜読みしておくようにと、私に半ば命じたのはTamara なのです。
録音は最近出たディーナヨッフェとヴァイマンのものが頼りです。

さてそれで。。。まずピアニスト稲島早織さん&私のペアが、こんな曲もありますと広めるために、4手変奏曲と悪魔王ロベール大二重奏を演奏。これは採点外。
こうして学生たちに聴いてもらっておけば、彼らの将来のレパートリー候補になります。
さぁ、そしてコンペは、2ペアが難しい『2台のピアノのためのロンドハ長調』に挑戦してくれました。。

出場しない学生は、にわか審査員になって、採点用紙に点数とコメントを書きます。良い点と改良をのぞむ点と両方が必須。
コメントは、演奏者からするととても有難いもので、客観的にどう聴こえたかがわかることはもちろんのこと、何人かに同様のことを書かれれば、自分の演奏の傾向もわかります。
点数は100点満点で、金賞90点以上?、銀賞80点以上?、銅賞70点以上、それ以下は奨励賞の感覚を目安とします。
百瀬&石川ペアは、以前にも授業でこの曲を弾いてもらったことがあり、その時に比べると各段の進歩を遂げていました。
独特の解釈部分もあり、それは偶然そうなってしまったのではなく、創意工夫の末のことと演奏から聴き取れました。
うん、そのアイデア、私も次に弾く時はそれも試してみようかな。。。と思う部分もありました。
2人のあうんの呼吸も素晴らしい!実際もペア♡なのかしらと思ったりもします。
採点用紙を見てみると。。最高得点は99点!確かにとても上手でした。
杉田&斉藤ペア。こちらはこのコンペのために、この難曲に挑んだのでした。えらいっ!
院試、卒試とあるのに、レパートリーを広げるために取り組んだ積極的な姿勢に、大きな拍手を送りたいです。
まだ発展途上ですが、難曲はまず一回弾けるようにして、その後、熟成期間を置いてからまた演奏することで、ようやく手の内に入っていくので、次に機会を作って自分のものにしていけば!と期待します。
稲島早織さんは私の生徒で、とても優秀とても頼れる存在!
今回も彼女だからこそ、あの楽譜を一緒に譜読みして、音楽を解読して、弾けるようにするまでにできました。
一緒に演奏できてよかったわ。
いざ弾けてみたら、「悪魔王?はすごいカッコいい曲ね〜」と悪魔にハマって夢中になってしまった私たち!
稲島さんのFaceBookでのコメントです。

「母校である桐朋学園大学の授業内で演奏してきました!
学生の前で、卒業生として演奏をする責任を感じつつ、楠原先生と演奏できたこと、素晴らしい作品に出会えたこと、学生の演奏を聴けたことが、心から幸せでした!」
楠原祥子

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