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6月9日(水)表参道カワイコンサートサロンパウゼで、Miyoshiピアノメソード指導法講座2021。

一昨年刊行された三善晃ピアノ曲集、Miyoshi32とMiyoshi27。実にシンプルなタイトルです。

上巻のMiyoshi32を田中貴子先生、下巻のMiyoshi27を私が担当しました。ご来聴のみなさま、誠にありがとうございます。

今どき珍しい対面オンリーのセミナーで、地方の方から配信のご希望も耳に入ってきますが、主催のカワイが確たる用意ができていないとのことで、来年には対面と配信の両方を実現してほしいというのが、私達のせつなる願いです。

Miyoshiのお仕事に携わって20年近く経つのに、相変わらず模索を続けるわたくしたち。

飽きることも古びることもなく、すべての芸術作品がそうであるように、毎回新しい発見をしています。

名古屋の杉浦日出男先生と武田真理先生のリードによって、細く地味に、しかし長く三善晃の作品と取り組んできたし、またこれからも音楽の深淵をさぐり、のぞき込んでいきたいと思っています。

今回の私のテーマは。。。!

『三善晃が編み出す音響の世界〜設計図を作る』

Miyoshi27に収録されている曲は芸術の域の曲ばかりです。ちょうどショパンのエチュードがステージで演奏される練習曲であるのと同じように。

私達ピアニストは楽譜を見るとまず音符を見て、端から音にしたくなってしまいます。作曲家は違う見方をしていて、音符は最後に埋めているのではないか?

まず曲の「設計図」。設計図から音響を編み出していくアプローチをしてみましょう!

というテーマです。

ピアニストの曲の地図とは、つまりごくごく簡単な設計図で、当然作曲家ほど精細なものではありません!

スタート→ 今自分がどこにいて周囲に何があるか→ 途中のチェックポイント→ 目的地(曲の終わり)までを、私達が持っているツールを駆使して組み立てていきます。

ツールとは。。。。

◇拍節 ◇形式 ◇クライマックスの位置と回数 ◇和声 ◇調性 ◇音型

これらを使って入念に組み立てをすれば、自分が今どこを弾いていて、次に何が起きて、それはやがて次のクライマックスに向けて高まり、そしてエネルギーを放出するなど、音楽の動きが見えます。

難しい連打であるとか、遠い調性への転調の連続であるとか、目先の困難に惑わされることなく、ひたすら音楽の動きを追っていきます。

『形式』はほとんど設計図そのもの。

AーBーAというシンメトリーの形式を持つ曲は、いわば生まれ持って美しき8頭身体型を持つモデルさんそのもので、それだけでもう美しいものです。中央に立派な建築物があり、両翼がシンメトリーに伸びている。

3部形式の音楽は、まさにその形式美を持ちとても安定しています。

さらに意図してかしないでか、黄金比率といわれる1:1.618の分岐点にクライマックスが置かれている曲は、さらに収まりよく、まとまりもよいので演奏しやすいのです。

クライマックスが2度ある音楽も組み立てが実に巧みです。

和声のことを突き詰めたら、もっと楽しくなるかもしれません。

それは次回への宿題にすることにしましょう。

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