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女性陣の演奏も素晴らしいです。

筆頭は、やはり天才少女の前評判通りの演奏だったEwa Gevorgyanエヴァ・ゲヴォルギヤンでしょうか。

長い輝くばかりのストレートヘアを結び、17歳とはにわかには信じられないような、早熟さがみてとれる顔をそのままあらわにして、ドレスはブラック。

只者ではないぞ、と存在感をいやが上にも感じさせます。

表現の幅の広さ、センチメンタルからは完全に距離をおいているけれども充分に叙情性があるメロディライン。

スケルツォ第4番の切れ味と迫力はすごい。若いフレッシュな勢いでは片付けられない、青みがかった刃のような鋭さも垣間見せ、凄みのある演奏でした。

演奏が終わって袖に戻ってから、拍手が鳴り止まないのを聞いてステージに戻ろうとした彼女を、係があわててドレスの裾を引っ張って引き戻したのには笑えました。第1次予選はそのように決められているのでしょう。

間違いなく、第2次、3次予選と進んでいくでしょうから、これから先の規模の大きい曲をどんな風に弾くか目が離せません。

日本人女性では、期待の古海さん!彼女も拍手がなかなか鳴り止まなかったです。

ノクターンOp.27-1cis-mollの中間部からの感情の盛り上がりが感動的でした。

躍動感溢れるエチュードOp.10-5黒鍵。古海さんの演奏は全身のバネを使うような躍動するリズム感が抜きん出ています。そして10-2。とても精密な仕上がりで、半音階のラインが上行から下行に戻る時のかえりが、ヴァイオリンのとても滑らかな弓返しのようです。

実際彼女の腕の動きを見ると、その弾み具合が切れのあるリズム感を生み出していることがよくわかります。よくそろった音階の滑らかさも群を抜いています。

音楽に真摯に取り組んでいることがわかります。数年前にポーランド人教授のレッスンの通訳で昭和音大に行ったことがあります。あの時彼女はいくつだったのか、まだ中学生だったかもしれません。すでにその頃から古海さんは大きな期待を寄せられ、彼女自身の口からも「幸いすごい先輩たちがいるので、それを見習いながら追いつこうと必死です。」という言葉が聞けたことを覚えています。

見事に成長を遂げて高松国際コンクールでも優勝し、注目される存在にふさわしい、品格のあるピアニストになられたと感じます。

これまた間違いなく第2次3次予選と進むでしょうから、楽しみです。

前回に引き続き、いえ、前回よりさらにこっくりと濃密な演奏を聴かせてくれたのがイタリアのレオノーラ・アルメリーニLEONORA ARMELLINI 。

ピアノは自国が誇るFAZIOLIです。今回はFAZIOLIの調律は越智晃さんではなく別の技術者です。FAZIOLIは創業者のパオロさんから息子さんの代になって変化もあることが伺えます。それに今回はFAZIOLIも力を入れて、出場者が選ぶように企業努力があったのではないでしょうか。イタリア人の多くが選んでいます。

スケルツォ4番はやや重めですが、響きのまろやかな、倍音を生かしての奏法で、こういう演奏は女性ならでは、また感情豊かな演奏家ならではと言っていいですよね。ラインの丸みといい、ベル・カントを思わせる無理のない発音といい、女性であることの喜びを感じさせてくれるのがアルメリーニです。

ポーランドの夏のショパン音楽祭で、2度ほど一緒に演奏したポーランド人のALEKSANDRA HORTENSJA DĄBEK。

最近ポーランド国内で活躍が目覚ましかったようです。大きな拍手を送ります!

そして、桐朋学園からの出場者、五十嵐薫子さんです。

堂に入った見事な演奏!3年前に桐朋を主席で卒業。その年の卒業演奏会で幻想ポロネーズを演奏し、とにかくよく弾ける!と感じさせました。

今回もそのとおり!スケルツォ第3番はよく指がはまり、オクターブの連続の勢いも素晴らしく、でももしかするとですが、音色に少しきつさがあるのかもしれません。実際に会場で聴かなければ、本当のところはわかりませんが、バリバリっと弾けてしまうことが、ストレートに伝わり過ぎている嫌いがあるのかなとも思えました。

なによりも五十嵐さんには華があって、ステージでよく映えます。これも大切なこと。それだけに拍手も大きかったし、きっと満足の演奏だったのでしょう、演奏後の笑顔がとても美しかったです。

そして、もうひとり、小林愛実さん。

さすがに前回の入選者で、何かしら貫禄も感じさせます。演奏もさすがでした。

エチュードOp.25-11木枯らしは、その精密さといい、大胆なアルペジオの持って行き方といいすごいものがあります。

でも、なぜかはわかりませんが、演奏全体からわずかに寂しさが漂うように感じられます。ノクターンOp.48-2という選曲のせいか、いえ、それだけでなく、エチュードOp10-10や、スケルツォ第4番からもそれが感じられるように思ったのは私だけではないのでは?

でも間違いなく第2次予選でも聴けると思うので楽しみです。

そして最後に掲載するのが失礼でなければ良いのですが。。。!

審査委員長の重責を担われるズィドロン先生です!

重責を担われるだけにお疲れも出ることでしょう。審査員はマスクから鼻出しが多く見受けられます。

海老彰子さんはお隣のフィリップ・ジュジアーノと談笑中。ありゃ、マスクはなし!

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