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今日は千葉の仲間のピアノトリオの初合わせ。
千葉市音楽協会主催の室内楽演奏会に向けて、まずはピアノトリオからスタートです。
メンバーはみんな千葉市在住なので、サッと合わせに出かけることができてとてもスピーディ。メンバーの家が散らばっているとこうはいきません。
ヴァイオリンの御木マドカさん、チェロの大森健一くん。そしてピアノの私。
マドカさんは千葉市音楽協会の室内オケのコンミス。天満敦子さんと同級生だそう。
大森くんについては、最近つながりがいくつかあることがわかり、まずは、我が小2の二人の生徒ちゃん、まりちゃんと祐輔くんとはごくごくご近所。伊達パパによると、通りかかるとチェロの調べが聴こえてくるとのこと。
そしてもう一つ。9月初旬にワルシャワにショパン国際ピリオド楽器コンクールを聴きに行った時、出場者の古川貴子さんが、「楠原さん、今度大森くんと一緒に弾かれるそうですね。いいヤツです、とっても。チェロもいいですよ。私も時々彼と室内楽やってるんです!」とお声がけ下さって、びっくりでした。
さて、今日の合わせは車で15分ほどのその大森くんのお宅で。全体が木の内装で、天井も屋根の形のままとんがって、とても音響もよく、実力以上にきれいな音に聴こえるような気がします。気持ちよく音楽できることはいいこと!
演奏会のスタートの曲選びです。ハイドンかモーツァルトと決めていて、ハイドンはなんとピアノトリオ、正確にはクラヴィアトリオが48曲もあるので、その中から2曲ほど事前に選択して楽譜を図書館から調達。^_^
私が好きなのはHob.ⅩⅤ:16 D-dur です。
ギレリスのピアノで、コーガン&ロストロポーヴィチのスーパートリオの演奏は、なんとも上機嫌で、気品もあって、すごく精密で、こういうのを聴くと、こう弾きたいのだっとインスパイヤされます。

もうⅠ曲、もっともよく演奏される「ジプシー」。1楽章は優しげで春を思わせるようなうららかさ。2楽章も耳に心地よく、まさにカンタービレで、それぞれが歌います。短調になっても落ち込むことはなく、また長調を誘います。
そして3楽章は「ジプシー」します。絶妙にジプシーするので、それほど土着性を強く感じさせず、それでも古典派の音楽にあってかなり個性は強烈。
「ジプシー」するって何するんだろう?と考えてみる。。。
サラサーテの『ツィゴイネルワイゼン』とか、モンティの『チャルダッシュ』とか、ブラームスの『ハンガリアンダンス』?、リストの『ハンガリアンラプソディ』に共通するのは。。。
うらぶれてもの悲しさ漂う旋律と、ヴァイオリンなら喉をかき切らんばかりの超絶技巧的に速い部分と、両方が出てくること。
リストのハンガリアンラプソディの、『ラッサン』と『フリスカ』がそう。
一口にジプシー風と言っても、その土地の音楽の影響も強く受けているのでしょう。
他の民俗音楽でも、例えばポーランドマズルカの『クヤヴィアク』と『オベレク』も同様ですが、ジプシー音楽ほど強烈に胸をえぐるようなむき出しの表現は、いかなる時も出てきません。度合いが違うのですね。
リズムでは、ラッタ〜タ〜タ〜という後打ちのシンコペーションがジプシーの特徴で、それも出だしをかなり強調して、拍の足を引っ張って重くします。
終始部分を強調したり、冒頭の付点音符にアクセントを強烈につけると、やればやるほど下品になるか、酒場の音楽になって拍手喝采を受けるか、そのどちらか。
19世紀ウィーンではチャルダッシュの演奏を禁じた時期があったくらいです。
コルトーのピアノ、ティボー&カザルスのゴールデントリオの演奏は、酒場とは無縁でセンスが光るなぁ。。と感じます。
ハイドンは敬遠していた時期があったのですが、桐朋で私のピアノリテラチュア授業のうちの数回を山根美代子先生が担当され、ハイドンの講義を聴講させて頂いたことがきっかけになり、排除していたことを反省して積極的に取り入れるようになりました。
山根美代子先生はヴァイオリニストのシモン・ゴールドベルク夫人だった方。海外生活が長かったからでしょうか、本物のエレガンスを身につけたすごい美意識の持ち主でした。
ちょうどその頃、乳癌を患われて手術を受けるか悩んでいらしたご様子でしたが、いつお会いしてもスーツをきちっと着こなし、超然としていらしたので、ほどなく亡くなるなど想像もしませんでした。
さてそれで、結局、今回の演奏会のスタートは「ジプシー」でと決めました。

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