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8月20日発売のムジカノーヴァ9月号、◆今月の課題曲◆に、モシュコフスキー16の技術練習曲Op.97から第2番について書かせて頂いた記事が掲載されています。

2021年ピティナ・ピアノコンペティションD部門の課題曲です。

ピアノを習うと必ず弾くのが『エチュード』。コンクールに出場すると必ず弾くのは、いえ、弾かなければいけないのは『エチュード』です。

エチュードは大きく2つに分類することができて、1つは技術の上達と向き合って家でコツコツと基礎訓練に励む練習曲。チェルニーやクラーマーの練習曲集があてはまります。

2つ目は、ある技術要素に特化しながらも詩的な情緒を持つステージ用の練習曲。これはショパンやリストの練習曲集に代表されます。子供用なら、ご存知ブルグミュラーの25の練習曲や、日本人では三善晃作曲のMiyoshiピアノメソード全12巻の練習曲集に代表されます。

ちょうどその中間に位置する練習曲もあり、まさにそれがモシュコフスキの練習曲集です。華麗なヴィルトゥオーゾ性と豊かな音楽性を持ち、どの曲も耳に心地よく響くのが最大のポイント。訓練用として人気があります。

中間の位置づけとはどういうことかというと、訓練用以上の音楽性を持ち、ステージ演奏用としてはやや基礎訓練寄りということでしょうか。

今年の学生音楽コンクールの課題曲にも指定されています。小学生部門では20の練習曲集から14、17、18、19番より選択。中学生部門は15の華麗な練習曲集から1、2、4、5、6、7、10、11番より2曲選択。

訓練用の練習曲の王道として君臨するのは、なんといってもチェルニーの練習曲です。チェルニーと言えば、ベートーヴェンの弟子で、リストの師という系統ですが、ショパンは20歳でウィーンに出た時、チェルニーと親交を持って親切にしてもらっています。

ショパンの言い草がまた笑えます。「チェルニーは、彼の書いた曲の印象よりずっと親切でよい人です。」

あぁ、なんて生意気な!当時の偉大なるチェルニー大先生に向かって、なんて正直にモノを言ってしまったのでしょう。。。

話を元に戻しましょう。。。モシュコフスキの練習曲を、チェルニー、クレメンティ、クラーマーなどと一括にしてしまいがちですが、、、、

驚くなかれ!

モシュコフスキが訓練用の練習曲を作曲したのは、20世紀に入ってからで、その頃世の中では、ガーシュインやショスタコーヴィチが活躍を始めていたのです。

ピアノの性能は安定し、膨大な機能をフルに活用しています。その点、楽器が発展途上にあったチェルニーやクラーマーの練習曲とは、曲想や仕上がりがまったく違って当然ですね。

そういったことを記事にしました。いわばミニエチュード論です!

今号は付録に音楽史ポスターが付いているので、けっこう早く売り切れになっているという嬉しいニュースも聞きました。

そうそう、なかなか面白い記事もそろっています。バッハインヴェンションの初取り組み、反田恭平の新時代のクラシック、練習しない子のための教材選び(笑)、フランス音楽を旅する〜サン・サーンス、ピアノテーマパーク:シューベルトのワルツ、などです。

よろしかったらどうぞご覧くださいね!

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