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明日は稲島早織さんのデビュー10周年記念フェスタのコンサートです。ずいぶんヴァラエティに富んだプログラミングで、稲島さんの桐朋の師である玉置善巳先生との連弾、私との連弾。そしてザ・ナゲッツというロックバンドと稲島さんのコラボ、それにソロと盛りだくさん。

これだけのヴァラエティを一つのコンサートでまとめ上げてしまう手腕も器用な稲島さんならでは!小さい頃から譜読みも早かったし、難曲でもさらりと弾いてしまう凄腕の持ち主!

さて明日私たちが連弾で弾くのは・・・

ショパン作曲マイヤーベーアのオペラ『👿悪魔のロベール』の主題による協奏的大二重奏曲』Mockowitz編曲連弾版 という曲です。

もともとはチェロとピアノの二重奏ですが、連弾版をポーランドの友人タマラと弾いたので幸い手元にあり、世界的にもまず弾く人がいないこの連弾版を数年前に稲島さんに頼んで、桐朋で一緒に弾いてもらったのです。

ショパンがパリに出てまもない頃、まだ爆発的にではないにせよ、ショパンの名前はパリの音楽家の間で知られてきていました。

カルクブレンナーというパリ音楽院の大教授にして、右に出るものなしとされた大ピアニストに自作のピアノ協奏曲第1番を聴いてもらい、自分のところで3年間勉強をするのはどうかと提案を受けましたが、ポーランドの両親やエルスナー教授に相談した結果、申し出は辞退したのでした。

カルクブレンナー大先生の鷹揚なところは、それで怒るわけでもなく、その後もショパンのデビューの後押しをして、プレイエル サロンでのコンサートまで企画しました。

そんな頃、オペラ好きだったショパンはパリのオペラを盛んに観に行き、マイヤーベーアのオペラ『悪魔のロベール』を観て、その圧倒的規模に感嘆の声を上げたのでした。

うまい具合に楽譜出版商のシュレザンジェから作曲の依頼を受けて作ったのがこの曲です。チェロのパートはチェリストの友人フランコムに助言を求めたと言われています。

現在でもたいていのチェリストはこの曲の演奏を避けるそうです。理由は誰にも聞いたことがありません。

昨年リサイタルでこの曲をついにステージで弾かれたデュオ林さんたちも、しばらく前に奥様の由香子さんに聞いたところでは、あの曲だけはまずステージに上げられない、と言っていました。

チェリストで指揮者でもある同級生の鈴木秀美氏は、「僕は録音もしたしステージでも弾いたけど、ビルスマ(世界的バロックチェロ奏者)が弾いたのくらいしか聴いたことないよ。連弾版?そんなものあるの?」とのこと。

さらに仰るに。。。

「元のオペラのアリアを聴いたことあるの?あのアリアからこの二重奏を作ったとはショパンは偉い!」

聴いたことがなかったので、この機会にミンコフスキ指揮の第1幕を聴いてみました。このソプラノのアリア、ものすごく美しい💓💓💓!!歌い手も上手なのでしょうけど、すごくきれいなアリアです。かなり技巧的で難しいのではないかしら。

ソプラノのラインはほぼそのままチェロにしていますが、その先はリズムや音型をあちこちから取り出して曲の中で使っているように思われます。

確かにショパンは偉い。では誰も弾きたがらないのはなぜ。。。。?やっぱりチェリストにとってかなり難しくて弾きにくいのでしょう。

稲島さんとは基本的にもうやったことがあるから、困難な曲ではありますが、1からやり直しではなく、ベースはできていて、その先を今回はどのようにするかが合わせのポイントです。

とは言っても、手がぶつかりそうになるので妙なかっこうになったり、私の右手が稲島さんの左手に押されてどうしても弾けなかったり、どちらかの手を指で突き刺したり、払いのけそうになったり、ヒジ上げる!!と超デカ文字で楽譜に書き込んだりと、色々笑える話もあるにはあります。

私たちの他に楽しみなのは、玉置先生と稲島さんの連弾です。こちら曲目はウェーバー作曲『舞踏への勧誘』。ふふ。。。ちょっと微笑ましい。

では明日を楽しみにいたしましょう!

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