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9月7日(木)表参道カワイパウゼで、6月から3回のシリーズで開催してきた、三善晃作曲ピアノメソードの第3回目が完了しました!

今年は全12巻の後半をテーマにして、7、8巻を田中貴子先生、10、11巻を武田真理先生が担当し、私が第11、12巻を担当しました。

題して『メソード集大成です!』

結局三善晃のピアノメソードって、何が弾けるようになるの。。。?というのは多くの指導者が思うところです。

結論は、最終的にピアノの技法が高められた19世紀ロマン派の作品、またそれ以後の作品を弾けるようにする!ということです。

初期導入の第1巻は、ドを5回鍵盤を押す🎹ことから始め、12巻でピアニストの道へまで導くメソードは、間違いなく唯一無二です。

シューマンがショパンの作品2について書いた批評「天才だ、脱帽したまえ!」は、三善晃にも当てはまるのかもしれません。

Miyoshiピアノメソードは導入から中期発展にかけて、決して急がず、『らせん階段を昇るように』進められます。チェルニーの練習曲などのように、ひたすら一直線に指の技法を追求していく練習曲集とは一線を画したメソードなのです。

正直なところ、最初このメソードを見た時には、こんなで上手くなるかしら?と訝しく思ったものでした。

らせん階段を登るとは、360度を見渡しながら、様々な音楽的要素をかいつまんで吸収していきながら、豊かな感性を育てるという指導法です。

しかし、三善先生は当然それだけではすまないことを当然ご存知ですから、この第11巻、12巻では『らせん階段』から切り替え、本格的に練習を厳しく積む段階にシフトしています。

第11、12巻で、ピアノの道を極めて行くための練習曲を今回は全曲弾いて、そのありがたさがよくわかりました。その難しさは容易ならぬものでしたが、ピアニストであればこそ弾くべき練習曲なのだと感じます。

第11巻は『黒鍵』に特化した巻。とにかく黒鍵!

ショパンにも『黒鍵のエチュード』があるように、手のポジションを黒鍵上に定めるには練習が必要です。♯と♭が最も多い6個ずつの長調と短調を使って作曲されています。曲によってはほぼ黒鍵のエチュードそのものです。

親指だけは通常白鍵を弾いて支えにしますが、11巻では親指も黒鍵に載せることがあります。これはロマン派以後の技法では多く見られ、ショパンなどノクターンでも、気持ち良いくらいスパーンと親指を重要な黒鍵のメロディ音に使っています。

そうです、だからこそこのメソードで練習を積んでおくのね!

第12巻は最終巻です。Miyoshiピアノメソード完了の巻。

ここではまず『初見』を取り上げています。初見と言っても、私たちが音大時代に経験してきた恐怖の初見!!とはまったく違います。

音大の初見は、「はい、1分の間に楽譜読んで!」。1分経つと、「はい、1分経ちました。はい、弾きなさい」と言われ、当然きちんと楽譜を見終わらないまま弾き始めるから、どこかで失敗して挫折に顔が曇る。。。。の繰り返しでした。

このメソードの初見は、そんなことはなく、新しい曲を譜読みを始める時に、音符を見てすぐに追って行くのではなく、まず楽譜全体を見渡して構成をつかみます。

もちろん強弱や速度も、音符の感じや流れ、反復や再現なども。おおかたつかんでしまいます。それから音にしていく。

。。。と口を酸っぱくして言われ続けてきて、今になってやっとできるようになりましたが、やっていない人だっていっぱいいることでしょう。

まず『🧠脳』で理解。このことに抵抗を感じることも事実なのです。感情に身をゆだねたい。音が生み出す響きに無垢なまま身をゆだね、欲望に素直に従いたい。だから、脳での理解を先にはしない。。。

でも、それで素晴らしい音楽を生み出しているのはアルゲリッチくらいかしら。

さて技法に戻りましょう。あら、そうなの、面白いなと思ったのは、三善晃がピアノ技法として最も困難と位置づけしているのが、3度と6度の重音の音階であることです。

確かにそうなのでしょう。ショパンエチュードの3度、6度の練習曲にしてもエチュードの中でも最難関ですから。

楽曲は、『それらのいくつかの難しい基本的な技術の組み合わせで構成される』とあります。

また、それらの『変容と応用で書かれています』と。

突き詰めると、隈研吾さん設計の木を使った桐朋学園の美しい宗次ホールも、その基本は一枚の木の板。それらが高度な技術によって組み合わさって、外観内観ともに芸術的な建築物が出来上がる。まさにそれですね。

『イスラメイ』であろうと、『夜のガスパール』あろうと、『黒ミサ』であろうと、分解すれば、一つ一つは基本的な技法で、その集合体なのだということですね。

今回はほとんど演奏に時間を費やしましたが、見せるプレゼンテーションも効果的なので、またKeynoteを使って画像を作成しました。Windowsのパワーポイントはほぼ使ったことがなく比較はできませんが、AppleのKeynoteは画像作成がとても楽しくサクサクできます。

ご来場の皆様、録画配信をお申込みくださった全国の皆様、誠にありがとうございます。第1回から連携してきた田中貴子先生と武田真理先生の応援もとても心強かったです。

またいつものことながら、カワイのスタッフの皆様のオーガナイズには心からの御礼を申し上げます。

第1回セミナー講師の田中貴子先生、第2回の武田真理先生と。お二人揃って背が高い!

 

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